デジタルサイネージの驚きと、撮影現場の熱、そして推し活の学びをお届けします。
月刊ULPLUS 12月号 vol.92
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弊社冬季休暇のお知らせ:2025年12月27日(土)〜2026年1月4日(日)
今月のテーマは「舞台裏にヒントあり」

今月は、PS5のサイネージ、Jリーグの試合、料理専門スタジオでの撮影、そして江川の「ひゃくえむ。」レビューと、ジャンルの異なる4つの話題をお届けします。
どれも一見バラバラに見えますが、実は1つの共通点があります。それは、目に映る“表の景色”ではなく、その裏側にこそおもしろさが宿っているということです。

広告はもちろん、スポーツも、映画も、料理撮影も。
人の心を動かす瞬間には、必ずその背景に緻密な工夫や準備、熱量があります。
江川が紹介する「ひゃくえむ。」のロトスコープなどは、まさにその象徴と言えるかもしれません。

今月は、そんな“舞台裏の視点”を通して、ULPLUSが仕事の中で大切にしている感性や姿勢を、少しだけ覗いていただけたらと思います。

contents

 

1. 江川のひとこと

何よりも「リアル」100m10秒の世界「ひゃくえむ。」

 

2. ADPLUS
クリスマスの撮影現場から

 

3.AD FLY
力士が電車を止めた⁉︎ 両国駅で起きた“広告の奇跡”

 

4.ふわっちの独り言

推し活と勝利の女神

                                                                   
江川のひとこと

何よりも「リアル」100m10秒の世界「ひゃくえむ。」

今月はおすすめコンテンツを紹介します。サカナクションの「怪獣」が主題歌で数々の話題になったた『チ。』を描いた漫画家・魚豊(うおと)さんの連載デビュー作『ひゃくえむ。』を原作とした、劇場アニメ作品。「100mを速く走る」だけのたったシンプルな10秒の勝負に青春を懸ける若者たちの、狂気と情熱、揺れ動く心を描いたスリリングな人間ドラマです。

主人公は、生まれつき速さを持つ“才能型”のトガシと、転校によって現実逃避から走り始めた“努力型”の小宮。やがてトガシは勝ち続けることの重圧に苦しみ、小宮は努力と記録への渇望の中で葛藤するという、人間ドラマとして強いリアリティと熱量を持つストーリー構成です。

 

ロトスコープというアナログな制作手法

本作では、アニメーションに「ロトスコープ」という技法が使われているのも大きな特徴です。実写映像をフレーム単位で表示し、それをアニメーターが1コマずつ手描きでなぞっていく方法で、「白雪姫」などの名作でも使われてきた伝統的な制作手法です。手作業のトレースゆえに膨大な時間と労力がかかるため、映画中の決勝戦の作画は丸々1年かかったそうです。

劇場アニメ『ひゃくえむ。』ロトスコープメイキング映像《疾走シーン:仁神》【𝟗.𝟏𝟗(𝐅𝐫𝐢)公開】https://youtube.com/shorts/uaTS7_IlyMw?si=Qwi0y4uuJZ6ADE-d

劇場アニメ『ひゃくえむ。』ロトスコープメイキング映像《日常シーン:財津》【𝟗.𝟏𝟗(𝐅𝐫𝐢)公開】https://youtube.com/shorts/mBjS3PvDclE?si=zmWCF3KfFl7VdO_7

 

私自身も中学・高校と陸上をしていたのですが、地面を蹴る音、スタブロ(スターティングブロック)をセットする音、バトンが落ちた音、追い上げてくる横レーンの見え方、がむしゃらに歪む表情、息づかい、全てが驚くほど正確に描かれていました。

 

近年は「スラムダンク」をはじめ、3Dモデルにモーションキャプチャーを当ててリアルな動きを生成するアニメ作品もあります。素晴らしいと思うものの、本作の作画には3Dモデル作品やCGやAIで感じる違和感がないので、ロトスコープという手間のかかる技法を選んだ理由がわかると思います。

 

ネトフリでの配信も!

2025年12月31日からはネットフリックスでの配信もスタートします。音響もとてもいいので、まだ間に合うなら、映画館での鑑賞をおすすめします。あと、映画を見ると、「どこの競技場だろう?実写のモデルは?」などなど、幼い頃は退屈でしょうがなかったエンドロールの情報も楽しく観れるようなったことで、大人になったんだなとしみじみ思います。

まだご覧になっていない方は、年末年始のタイミングでぜひこの機会に触れてみてください。

ADPLUS
ADPLUSは弊社が手がけた広告やデジタル施策の成功事例を紹介するコーナーです。現場のリアルな成果から、次のアイデアのヒントを見つけていただけます。

クリスマスの撮影の舞台裏より

   今月のADPLUSは、有楽町イトシア様クリスマスフェアのビジュアル制作のために行った「料理専門スタジオ」での撮影現場をご紹介します。

料理の撮影は、ただ美味しそうに撮れば良いというものではありません。


“シズル感” “温度” “季節感” “光のニュアンス”
これらを的確に表現するには、現場の環境づくりがとても重要になります。今回使用したスタジオは、まさにそのためのプロフェッショナルな空間でした。


料理撮影に欠かせない
・クロス(質感・色味・季節のイメージに合わせて数百種類)
・お皿やガラス器(料理ごとにベストな形や深さが選べる)
・カトラリー、小物、背景ボード
がすべて揃っており、シーンごとに最適な“世界観”を形づくることができます。

さらに現場に専属のフードコーディネーターがいることです。
食材の盛り付け、温度管理、光の当たり方を計算した最終仕上げなど、料理を「最も美味しそうに見える秒」を作るために、調理からセッティングまでをその場で行ってくれます。

 

たとえば
・玄米ボウルの瑞々しさを出すためのオイルミスト
・カレーの粘度と湯気がベストになる“秒”を狙ったタイミング出し
・クリスマス商品の温かみを表現するためのアンバー寄りライティング
・スイーツの立体感を生む斜め45度のトップライト
こうした繊細な調整が、写真の完成度を大きく左右します。

 

今回のクリスマスフェア撮影では、店舗ごとに異なる世界観を表現するため、テーブルクロスや背景布、食器選びにもひとつひとつ意味を持たせました。


・洋食店舗は温かいブラウンや赤を基調に
・カフェ店舗では明るく柔らかな光を
・ワインやギフト系は夜の“しっとり感”を意識したライティング
・スイーツはホリデーらしい可愛らしさを演出
など、

 

ブランドイメージに合わせたクリエイティブディレクションを細かく設計しています。料理写真は、「美味しそう」に見えるだけでなく、


“そのお店の空気感を一枚で伝えられるか”


が本当に大事です。

 

今回の撮影は、スタジオの設備、フードコーディネーターの技、そしてブランドごとの世界観を組み立てるディレクションが合わさり、クリスマスらしい温度感に満ちたビジュアルが揃いました。

イトシア様の店頭・館内・デジタル媒体でこの写真たちがどのように彩りを加えたかぜひ有楽町イトシアに行ってお確かめください。

 

クリスマスフェアは12月25日まで。

AD FLY

力士が電車を止めた⁉︎ 両国駅で起きた“広告の奇跡”

 

Xで偶然流れてきた、あのPS5の“魔人力士が電車を止める”映像。

あまりのインパクトに思わず釘付けになってしまい、「これは現場を見ないと分からない」と思い、その足で両国駅へ向かいました。

 

その映像がこちらです。

 

 

 

ホームに立ってまず感じたのは、空間全体の力です。巨大なデジタルサイネージの向こう側には、堂々とそびえる両国国技館。相撲の聖地という文脈と、PS5のキャラクター“魔人力士”が完全にリンクし、配置された瞬間に“その場にいる必然性”が生まれていました。これは実際に足を運び、ホームに立って初めて分かる説得力でした。

ただ、その時点では放映時間が公表されておらず、私は日中に見に行ったのですが、そこで重要な気づきがありました。日中の強い光量では、巨大サイネージの迫力がどうしても空に溶けてしまい、魔人力士のスケール感が伝わりづらいのです。確かに別映像の力士は映っているものの、「あのXで見た衝撃そのまま」には届かない。

その瞬間、気づきました。
なぜ“17時35分すぎ”の1回限定演出なのか。
理由はシンプルで、日没後の暗さこそが映像の立体感と臨場感を最大化するからです。

 

実際のお昼の映像がこちらになります。

サイネージが真に“空間を支配する”のは、光が落ちて背景が闇に沈み、画面そのものが現実の中で発光し始める時間帯。そこで初めて、魔人力士がホームの中で“生き物のように存在し始める”。この演出設計は本当に見事でした。


広告はクリエイティブだけでは完成しないと改めて思いました。
空間・光・時間帯・ロケーションの文脈がそろって初めて、一つの“体験”として完成するのだと。

PS5のこの事例は、デジタルサイネージが単なるビジョンではなく、空間演出であり、物語を宿すメディアであることを教えてくれます。弊社の日頃の業務でもこのような視点を常に持ち続けていきたいと改めて思いました。

ふわっちのひとり言

ふわっちのひとり言は、弊社代表・不破が日々の出来事の中でふと立ち止まり、心に触れた瞬間や、そこから生まれた想いを素直に綴るコラムです。一つひとつの気づきを、読んでくださる皆さまへ大切にお届けしたい――そんな想いを込めてお送りします。

 推し活と勝利の女神

最近、ひょんなことからJリーグを応援する“推し活”を始めました。
きっかけは、中学・高校時代に仲の良かった友人たちと久しぶりに再会し、その仲間の息子さんが大宮アルディージャでプレーしていることを知ったこと。そんな縁もあって、自然と応援するようになりました。

そして昨日。
友人たちと一緒に、J1昇格プレーオフの一戦、ジェフユナイテッド千葉 vs 大宮アルディージャを観戦しに、フクダ電子アリーナへ行ってきました。

アウェーの洗礼は想像以上で、大宮のグッズ(タオルやTシャツなど)は使える席が一部しかなく、完全に千葉のホーム一色。その空気の中で迎えた前半、大宮はなんと3-0と圧倒。このまま行けるのでは……と誰もが思ったはずです。

 

しかし、ハーフタイムで私は“ある違和感”を覚えました。

千葉の控え選手たちは、声を出しながらアップを続け、ボールを蹴り、試合に再び入るための準備を全力でしている。一方、大宮の選手たちは全員が控室へ引き上げ、ピッチは無人。
後半開始直前、千葉の選手たちは早々に勢いよく走り込むように登場し、ピッチ中央で肩を組んで大きな声で円陣。
対照的に大宮は、開始ギリギリまで姿を見せず、歩きながらゆっくりとピッチへ。

その瞬間、胸の奥に嫌な予感がよぎりました。

そして結果は――
後半だけで4失点。逆転負け。
しかも後半の得点者には、前半に出ていなかった途中出場の選手が含まれていました。

私は思いました。
勝敗は、技術や戦術だけでは決まらない。
“どれだけ本気で試合に向き合っていたか”という姿勢に、勝利の女神は微笑むのだと。

千葉の「絶対に諦めない気持ち」
千葉の「後半に賭ける覚悟」
千葉の「1プレーに懸ける温度」

それらが試合を変えていったように感じました。

そしてこれはサッカーだけの話ではありません。
スポーツ全般、そして私たちの日々の仕事にもまったく同じことが言えると、心から思いました。

・準備を怠らない
・最後まで集中力を切らさない
・諦めない姿勢を持ち続ける

この3つが揃ったところにだけ、勝利は舞い降りる。
そんな当たり前のことを、あらためて胸に刻まれた一日でした。

試合は残念な結果でしたが、この推し活は私に大きな学びをくれました。
そして今日。Jリーグはシーズン終了後すぐ、選手とクラブが1~2週間かけて来季契約の話に入ります。
友達の息子さんがどういう発表になるのか、私はドキドキしながら見守っています。

“推し”がいると、人生はこんなにもドラマチックになるものなんですね。笑

今回ご紹介した4つのエピソードに共通しているように、ULPLUSでは広告や制作物の“表側”だけでなく、その裏側にある意図・設計・世界観づくりをとても大切にしています。

もし御社でもブランドの魅力をもっと立体的に伝えたい、体験価値をデザインしたい、
制作の舞台裏まで設計されたプロモーションに挑戦したい、そんなお考えがありましたら、気軽にご相談ください。

皆さまのストーリーを一緒につくるお手伝いができれば嬉しく思います。

これからも、ULPLUSならではの視点で感じたことや気づきをお届けしていきます。

 


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